19 血液の色は酸素と関係があるんです


1MA 10/7(水)予定 1MB 10/8(水)予定

 

授業の目標

①ヒトの血管系を説明できる。
②動脈血と静脈血の違いを説明できる。

 

重要な語句(P.はベストフィット生物基礎)

赤血球(P.122)

…(ヘモグロビン)を持ち、おもに(酸素)の運搬を行う血球。

酸素ヘモグロビン(P.120)

 

…(酸素)と(ヘモグロビン)が結合したもの。酸素濃度の(高い)肺で形成 され、酸素濃度の

低い)組織で解離し、酸素が供給される。

 

授業の内容

◎ヒトの血管系は3種類の血管と心臓からなる閉鎖血管系である。

動脈   …心臓から出て行く血液が流れる血管

毛細血管 …動脈と静脈をつなぐ血管壁の薄い血管

→毛細血管からは血しょうがしみ出て、組織液となる(No.18参照)

静脈   …心臓に戻る血液が流れる血管

 

…血液は心臓の拍動によって循環している。(図19-1)

体循環 …左心室大動脈→各動脈→組織→各静脈→大静脈右心房

肺循環 …右心室肺動脈→→肺胞→→→→肺静脈左心房

 ◎血液は液体成分の血しょう(血漿)と有形成分の血球からなる。

…血しょうには、タンパク質、アミノ酸、グルコース、脂質、老廃物などが含まれる。

…血球は3種類ある。

赤血球 …酸素を運搬する

白血球 …免疫に働く。様々な種類がある。

血小板 …血液凝固に働く。


◎酸素は赤血球中のヘモグロビンによって運搬される。

…ヘモグロビンは赤色のタンパク質

…ヘモグロビンは、肺胞のように酸素濃度が高く、二酸化炭素濃度が低い場所で、酸素と結合して鮮紅色の酸素ヘモグロビンとなる。(図19-2)

→酸素ヘモグロビンの多い血液を動脈血という。

|心臓|左心房・左心室を流れる(心臓の左側は動脈血)

|血管|肺静脈・大動脈を流れる(肺を経由後、組織に至るまでが動脈血)

 …酸素ヘモグロビンは、組織のように酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が高い場所で、酸素と解離して暗赤色のヘモグロビンとなる。(図19-3)

→ヘモグロビンの多い血液を静脈血という。

|心臓|右心房・右心室を流れる(心臓の右側は静脈血)

|血管|大静脈・肺動脈を流れる(組織を経由後、肺に至るまでが静脈血)


Back Side Story Vol.19

入院していたら、指に機械をはめられたときの話

 2010年11月、松本市での単独自転車事故に遭った当時29歳の男性は、ケガの5日後に安曇病院を訪れた。言葉を発するくらいではそうでもないものの、食事中に噛むたびに激痛が走ることに不安を感じた彼は、最初大町市内の歯医者に行った。しかし、すぐに安曇病院口腔外科の紹介状をもらい、受診…上顎骨骨折の診断を受けた。口周りを動かさずに生きることはできないので、そのままに放置しておくわけにはいかない。期末考査の作成を終えた後、手術を行い、1週間の入院生活を送ることになった。


既に気付いているとは思うが、上記の男性とは僕自身のことだ。あまり大きな病気やケガもせず生きてきた人生だったので、入院生活を送るのは初めてのことだった。もちろん、手術を経験するのも初めて。初手術が顔にメスを入れるというのもかなり不安だった。当時は恋人もいない時期だったので、このまま結婚できなかったらどうしよう、と15分くらいは真剣に悩んだものだ(骨折告知の15分後に、顔の表からではなく、歯茎の上からメスを入れると聞いたから)。


病院で夜を過ごすというのはなかなかに退屈だった。病院の夜は早い(朝もそこそこ早いけど)。普段、仕事に追われ、夕食の時間はバラバラ、寝るのはだいたい12時前後という生活を送っていた僕にとって、病院での規則正しい生活はありがたかった。手術することについては不安もあったけれど、まあなんとかなるだろうと気楽な気持ちでいた。


顔以外はまともだったので(こういう表現はいろいろ誤解を生みそうだが…)、朝の検温は自分でやるように指示が出た。朝、起きると枕元の体温計で計る。しばらくすると、看護師がやってきて、内容をチェックする。その後、いつも「指を出してください」と声をかけられ、小さなクリップのような機械で指先を挟まれた。


最初は、いったい何をしているのか分からなかった。血液を調べているらしい、ということは会話の端々で分かるのだが、どういう原理で調べられるかが思いつかなかった。そうこうしているうちに、手術が行われ、2、3日は痛みやら点滴やらでそれどころではなかった。ようやく食事が許されて(ただし、すべて液体メニュー)、余裕が出てきた頃に、看護師に聞いてみた。


原理としてはレーザーのようなものを当てて、光がどの程度透過するかによって、血液中の酸素濃度を調べるそうだ。確かに大学時代、ある液体の濃度を同じような原理で計測したことがある。血液でも同様にできるのは、ヘモグロビンの状態によって、色が異なるからだと言える。


この話が授業でできればいいな、と思っていたら、意外に安い値段で買えることがわかった。普段は物理室の生物授業セットの棚に置いてあるので、計測してみたい人は、ぜひどうぞ。