25 血糖量は常に0.1%が理想です。


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授業の目標

 ①血糖量増加の方法3つと、血糖量低下の方法1つを説明できる。

重要な語句(P.はベストフィット生物基礎)

 血糖(P.118)

…血液中の(グルコース)のこと。血糖の量を血糖量、血糖の濃度を(血糖値) という。

糖尿病(P.124)

…(糖尿)や高血糖を症状とする感性疾患。Ⅰ型糖尿病((インスリン)分泌低下)とⅡ型糖尿病((インスリン)感受性低下)に分けられる。

授業の内容

◎血液中のグルコース(=血糖)は、細胞のエネルギー源となる。

→血糖の濃度(=血糖値)はほぼ同じ濃度(0.1%)に保ちたい。

→間脳の視床下部とすい臓のランゲルハンス島の2カ所で感知し、血糖量を調節している。


◎血糖量が少ない時は、次の①~③の方法で血糖量を増加させる。


①すい臓ランゲルハンス島A細胞からグルカゴンを分泌させる。

❶視床下部で低血糖を感知

❷視床下部から交感神経を通じてランゲルハンス島A細胞に情報が伝わる。

❸ランゲルハンス島A細胞からグルカゴンが分泌される。

❹グルカゴンが肝臓に作用し、肝臓内のグリコーゲンが分解され、グルコースになる。


副腎髄質からアドレナリンを分泌させる。

❶視床下部で低血糖を感知

❷視床下部から交感神経を通じて副腎髄質に情報が伝わる。

❸副腎髄質からアドレナリンが分泌される。

❹アドレナリンが肝臓に作用し、肝臓内のグリコーゲンが分解され、グルコースになる。


副腎皮質から糖質コルチコイドを分泌させる。

❶視床下部で低血糖を感知

❷視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌される。

❸副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが脳下垂体前葉に作用し、副腎皮質刺激ホルモン

分泌される。

❹副腎皮質刺激ホルモンが副腎皮質に作用し、糖質コルチコイドが分泌される。

❺糖質コルチコイドが組織に作用し、組織内のタンパク質がグルコースに変化する。


◎血糖量が多い時は、すい臓 ランゲルハンス島B細胞からインスリンを分泌させて、血糖量を低下させる。

❶視床下部で高血糖を感知

❷視床下部から副交感神経を通じてランゲルハンス島B細胞に情報が伝わる。

❸ランゲルハンス島B細胞からインスリンが分泌される。

❹インスリンが肝臓に作用し、肝臓内に入ってきた血液中のグルコースからグリコーゲンを合成

し、肝臓内に蓄える。

❹'インスリンが各細胞に作用し、血液中のグルコースを細胞内に取り込ませる

→インスリンの分泌量低下などが原因で、糖尿病となる。


Back Side Story Vol.25

ご飯が美味しいことは困ったことでもあるのです。

 最近、食欲が止まらない。育ち盛りでもあり、運動量が半端ない君達は心配ないかもしれないが、どこに行くにも愛車を乗り回して

いる僕にとっては、由々しい問題だ。なるべく、長野に出張する時は、電車を使うようにして、駅から歩いたりと、多少意識するものの、さほど運動しているとは言えない。


振り返れば、運動らしい運動をしないままに過ごした20代後半の生活が響いて、僕の身体には不要なものがいろいろついてしまった。栄養士の資格を持つ知り合いに相談すると、「ご飯は控えめに」と言われてしまう。そこで「そうですか。じゃあ、ご飯の量を減らします」と言えればいいのだが、残念ながら僕はご飯が好きで好きでしょうがない。世の中では炭水化物ダイエットが流行しているようだが、食卓からご飯を消すことなど僕には考えられない。


 そもそもなぜ食べ過ぎると「太る」のだろうか?ものすごく単純にいうと、食物を摂取して得られるエネルギーが運動等によって消費されるエネルギーを上回っていた場合に、その差が体内に蓄えられる。だからこそ、ダイエットには「食事を制限する」方法と「運動量を増やす」方法があるのだ。


 体内に蓄えられるというのはどういうことなのか?そこにはインスリンというホルモンが関わっている。炭水化物=糖質(グルコース)が体内に入ると、小腸で吸収が始まる。吸収された糖質は血液を通じて肝臓に入るので、血糖量は増加する。血糖量の増加を感知した間脳視床下部は副交感神経を通じて、すい臓ランゲルハンス島B細胞からインスリンを分泌させる。インスリンの作用により、血液中のグルコースはグリコーゲンに合成されたり、脂肪に変化したりする。もちろん、摂取した糖質が少なければ、それほど蓄えられることはない。しかし、食べ過ぎにより、血糖量がグンと増加した時には、その分だけ体内に溜め込まれる。これが太るメカニズムだ。


 「炭水化物が人類を滅ぼす」の著者である夏井睦氏は、この「糖質を摂取するとインスリンが分泌される」ことに注目した。糖質さえ摂取しなければ、インスリンは分泌されず、からだに蓄えられることもないわけだ。ヒトの歴史の中で、満足に食事ができるようになったのはつい最近のことだ(もちろん、現在でも常に飢えと闘っている人々はいる)。だからこそ、血糖量を減少させるホルモンはインスリンしか進化してこなかったのだ。


 では、太らないようにするには、僕は愛するご飯とお別れしなくれはならないのだろうか?そんな僕への救いは「GI値(グリセミック指数)」という値だ。これは、炭水化物が糖に変化するまでのスピードを表している。GI値が低ければ、血糖量が急激に増加することはないので、インスリンの分泌は抑制される。GI値が低い食べ物とは蕎麦、玄米、葉物の野菜がある。逆に高い食べ物はニンジン、カボチャ、そして白米…やはり僕には救いがないらしい。まあ、食べる順序なんかを工夫すれば、血糖量の急激な増加は防げるらしい。34歳ともなれば、いろいろ気遣うことも必要なのだ。君達もあと10数年…まだまだあるね。