02 生物の共通点を見つけ出す


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授業の目標

生物の共通点と進化の関係性について説明できる。

 

重要な語句

細胞(P.119)

…生物の(構造)および(機能)上の最小単位。

進化(P.120)

…生物が(世代)を重ねるうちに変化し、()を増やしてきた過程。

 

授業の内容

◎生物の共通点を挙げてみる。

・動く

・呼吸する

・食べる

・排出する

・増える(子孫を残す)

・成長する

・環境に適応する

・細胞がある(細胞をもつ)


→すべての生物に共通する3つの要素

 ①からだが細胞でできている。

 ②体内で(細胞内で)化学反応を行う(=代謝)。

※化学反応とは物質が別の物質に変化すること

 ③自分と同じ遺伝子を次の世代に残す(=自己複製)。

※遺伝子はDNA上にある、タンパク質をつくるための情報


◎多様な生物は共通祖先進化してできてきたと考えられる。

…共通祖先とは地球上に最初に出現したと考えられる生物。

→共通祖先が子孫を残していく過程で、少しずつ変化が出てきた。

【変化が起こる理由】

①DNAの複製ミス

…原則として、DNAは複製されるため、全く同じDNAが子孫に伝わるはず。しかし、時として複製が正確に行われないこともある。

②個体間でのDNAの組み合わせ

…多くの生物ではオスとメスがいなければ、子孫を残せない。この生殖システム(有性生殖という)では、2個体の遺伝子の半分ずつが子孫に伝わる。そのため、子孫は親と全く同じ遺伝子を持たない。

 

Back Side Story Vol.02

「生物と無生物のあいだ」にあるものを探る

 僕達は日常生活の中で、だいたい生物と無生物は区別できる。ところが、時と場合によっては判断に困るものもある。例えば、海底にあるサンゴ。装飾品として用いられることが多いが、あれはれっきとした動物だ(刺胞動物といい、クラゲやイソギンチャクもこの仲間になる)。


 見た目は動物のようでも、実は生物ではないものも多い。例えば、ぬいぐるみ。キャラクターもののように、明らかに生物とかけ離れているものは別として、この世にはリアルを追求したものたちもある。しかし、ぬいぐるみを生物と間違える人はほぼいない。なぜならば、僕達はぬいぐるみが生きていないことを知っているからだ。


 すると、さらに疑問が湧いてくる。「生きている」とは果たしてどういう状態なのか?僕は人生の中で、まだヒトが死ぬ瞬間に立ち会ったことがない。昨年の冬、祖母が亡くなったと聞かされ、松本から車を飛ばして、父方の実家にたどり着いた時には、彼女はもう布団の中で安らかな顔をして、永遠の眠りについていた。もう動かないし、話すこともない。生物であったのは確かだが、亡くなることによって、「生きている」存在ではなくなったのだ。


 生きていることの定義については、今なお議論が続いている。2007年にベストセラーになった福岡伸一「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)の中で、彼は生命についてこう書いている。


「生命とは動的平衡にある流れである」


 余計にわからなくなってきた、という人もいるだろう。著者によれば、生命は常に同じ状態ではない、ということらしい。確かに僕達は食べては出し、を繰り返している。今日、自分の体を構成しているものが明日もそこにあるとは限らないのだ。


 そういえば、作家の村上春樹もこんな文章を書いていた。確かに、ずっと同じではいられないのかもしれない。

「細胞は一ヶ月ごとに入れかわるのよ。こうしている今でもね」彼女はほっそりした手の甲を僕の前に差し出した。「あなたが知ってると思ってるものの殆どは私についただの記憶にすぎないのよ」

村上春樹「羊をめぐる冒険」(講談社)


参考資料

福岡伸一「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)

村上春樹「羊をめぐる冒険」(講談社)